これはなに
『「技術書」の読書術』より、私が学んだ技術書の選び方1をまとめた記事。
結論
技術書を選ぶときは、次の3つを意識して本を選ぼう。
- 自分に合う本を選ぶ
- 目的に合った本を選ぶ
- たまには異なる分野の本も選んでみる
ただし、自分に合う本だけを選び続けることは不可能である。相性の悪い本と出会ったときは、流し読みするなどして、読むのにムダな時間をかけないようにしよう。
自分に合う本を選ぶ
一般に名著とされる本が、いまの自分にとっても良い本とは限らない。本書にも次のように書かれている。
人によって、そのときのスキルによって、時代によって最適な本は変わる。
そもそも技術書は、著者が想定する読者層や目的によって、書き方や内容が異なる。そのため、読者は、自分の目的やレベルに合わせて、自分に合った性質の本を選ばなければならない。
自分のレベルに合った本を選ぶ
自分にとって少し難しいが理解できるレベルの本を選ぼう。たとえば、いくつか気になるキーワードを索引で探し、その解説のされ方をみてみれば、その本のわかりやすさを判断できる。まえがきから読者ターゲットを確認したり、目次から内容全体を把握したりするのもよい。
とくに入門書では、著者と読者との間で、初心者の定義に相違のあることが多い。「C言語入門」の前に「プログラミング入門」が必要な場合もある。初心者が本を選ぶ際には、全体をパラパラと見て、前提知識が足りているか、ゴールはどこに置かれているかを確認しよう。
説明のされ方との相性を確認する
図解中心か文章中心かによって、その本との相性は異なる。同じテーマを扱う章を比較し、合う方を選ぼう。
たとえ話にも注意を払おう。たとえ話が理解しやすいかどうかは、ジャンルや読者の好みにより異なるからだ。
章ごとや節ごとに読むなら、章の数や各章のページ数を確認しよう。ページ数の配分から、読了に要する時間を把握できる。
レビューや書評を利用する
自分のモデルとなる人や目指したい人を探し、その人が読んでいる本を確認してみよう。自分と共通点のある人のブログやレビューを参考にするのもよい。一般にレビューの内容は玉石混交だが、自分と共通点のある人のレビューは、自分にとっても参考になることが多い。
目的に合った本を選ぶ
何のために本を読むのか、目的を決めて本を選ぼう。知りたいものが全体の概要か、理論か、手順かによって、合う本は異なる。目次、文字のフォント、画像の数などをみて、その本が自分の目的に合っているかを確認しよう。
たとえば、体系的に学びたいなら教科書のように順を追って説明している本が有効である。一方で、テーマの概要を把握したいだけなら、技術書よりもビジネス書や新書が適しているかもしれない。
目的を達成できれば読み方は何でもよい。ゆえに、本を買ったからと言って、すべての内容を理解する必要はない。途中から急に内容が難しくなった場合は、完全に理解することをやめて、最後までざっくりと目を通そう。
たまには異なる分野の本も選んでみる
目的を持って読むメインの読書のほかに、たまには異なる分野の本も読んでみよう。他のジャンルの本を読めば、技術者として働いていると気づかないような視点を得られる。無関心な分野の本を読めば、新しい知識や趣味、才能を発見できるかもしれない。
新刊の情報を仕入れたり、異なる分野の雑誌を読んだりして、読む本の幅を広げよう。日本十進分類法(NDC2)やISBN3をランダムに決めるのも手である。
購入を躊躇するようなら、図書館を利用しよう。図書館なら無料で気軽に新しい分野の本を読めるし、絶版本も読める。カーリルというサービスを使えば、蔵書の検索や最寄りの図書館を探せる。
まとめ
技術書を選ぶときは、次の3つを意識して本を選ぼう。
- 自分に合う本を選ぶ
- 目的に合った本を選ぶ
- たまには異なる分野の本も選んでみる
ただし、自分に合う本だけを選び続けることは不可能である。相性の悪い本と出会ったときは、流し読みするなどして、読むのにムダな時間をかけないようにしよう。
参考文献
- なぜ「読書術」なのに「選び方」なのかというと、本書には「読み方」のほかにも、「選び方」や「アウトプットのしかた」について書かれていたためである。↩
- Nippon Decimal Classificationの頭字語。↩
- International Standard Book Numberの頭字語。↩